読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

SKY~なんちゅのPFCSブログ~

なんちゅのPFCS用のブログです。かなりフリーダムです。

敗者と勝者 3

「見張りがいないね…どういうことだろう…」

ルーカスは不気味に思い屋敷の中に入る。
屋敷の中に生活後が見える。ゴミなどがたくさん散らばっている。

「ルビネルが心配だが…この周りには誰もいない。ルビネルはしばらく休ませてあげよう。
ぼくが行くよ…」

「あ、俺も行くぞ!」

「有難いよ、クライドくん。残りは見張りをしてくれるかね?」

周りの皆はうん、と頷く。ルビネルが心配だからだ。


「よし、クライドくん。ぼくは右をいこう。クライドくんは左を。」

「分かった、ルーカスさん。」

ルーカスは右へ行く。クライドは左へと行った。
右へ言った瞬間、ルーカスの目が怪しく輝く。
クライドは一瞬だけルーカスの目がおかしかった事を見抜けなかった。

 

「見張りが居ない…?」
クライドも見張りが居ないことを不気味がっていた。

「それに何故か新品の鏡がはられている…」
クライドはスタスタと走り奥の部屋へと向かっていく。
おそらく奥にボスであるジョセフが居るのだろう。そう見込んでのことだった。


「…鏡と、サムサール?」
クライドはある事を思い出した。

サムサールの呪詛は鏡の反射越しでも伝わる。

そしてこの屋敷には新品の鏡が大量においてあった。

だがしかし、鏡は斜め方向に、次の鏡に反射するように置かれていた。

鏡を見ると奥から人影が目に入る。


「まさか!」
クライドは一瞬の判断で持っていた刃物を投げ、鏡を割る。
鏡は砕け散り、次の鏡へとクライドを含む人影を奥から見えなくさせた。


「…ッ!」
敗北感にクライドは包まれる。このサムサールはこんな技術を使ってでも、卑怯な手を使ってでも戦いたい。
それに勝てる気がしない。

だんだんと目の前にサムサールが近づいてくる。
額当てをしていないサムサールがクライドに近づき…


「うわあぁああっ!!」
…クライドの叫び声が静かな屋敷に響く。
「クライドさんの声だ!?どーしよー!?」
外に待機していたハサマ一行が聞き取れるほど大きな絶叫。
否、わざと聞こえやすく屋敷の構造が作られていた。

この屋敷の窓には精霊の加護が付いていたのだ。
音の精霊の加護がついた壁だろう、わざと音が反響しやすく作られていた。
本来はダンスクラブやディスコ、緊急用の会議室や取調室などで使われる加護。
その加護の付いた布を窓に付けられていた。

布は中を隠すように、カーテンと窓ガラスの代わりをして窓にはられている。


屋敷の外に居るオムビス、ミネルヴァ、ハサマはクライドを強く心配した。
しかしルビネルが泣いている、まだ様子を見れない。

「ハサマが行くよ!ハサマが行けば何とかなると思う!」
「それなら俺も行こう。ハサマは王だ、だから万が一の事があると心配だ。」

ハサマとオムビスが立ち上がる。

「ミネルヴァ様、貴女はルビネルさんの様子を見ていてくれ」

「分かった!」

ルビネルの様子見は、女性であるミネルヴァに任された。
ミネルヴァが戦場に行くと危険だとオムビスは判断したのだろう。

 

ルーカスは絶叫を聞く。屋敷内なのではっきりと聞こえた。
だがしかしルーカスは止まること無く奥へと進む。
ルーカスの意思では無さそうだ。
ルーカスの目が怪しく光り、口からブツブツと独り言が漏れる。


「クライドの声が聞こえたよ、止まろうよ…」

「ああ?何で止まらねぇといけねぇんだよ!」

「きみには思いやる心が無いのかい!」

「…お前、この身体は誰のものか分かってて言ってるのか?」

「…きみが主人格だ 」

「ああ、そうだ。
イラついた。しばらくテメェを乗っ取らせてもらう。」

「…せめて仲間を傷つけないで」


ルーカスの顔から優しさがふっと消える。
同時に険しい、キツめの顔つきになりルーカスは怪しい笑を浮かべた。


ジル・ド・レ…それがルーカスの本名。
アンティノメルで通じているルーカス=マーティンは偽名である。

ルーカスは解離性同一性障害…いわゆる多重人格を患っている。ルーカスは副人格である。

そしてジルは過去に起きたアンティノメルの連続殺人の犯人である。
ルーカスはジルに残った良心が人格となった存在だ。

ジルはチュリグ国の観測者(と、呼ばれている人?)による力で意思が弱まっており、もし身体を乗っ取れたとしても数十分しか乗っ取れない。
だが戦闘スキルは殺人をこなしていただけあり、ジルのほうが明らかに上。
ルーカスは緊急の強い事件で、わざとジルに意識を乗っ取らせる事が多かった。


そして今回の人格変更もルーカスの作戦である。
かなり屋敷の奥に進んできた。奥には、敗北のサムサールが居る。
もしルーカスがあのサムサールの感情にとらわれたら…カウンセリングやラビリンスへの軟禁どころの話ではない。

ジルに人格を変える。そして万が一あの感情にとらわれても、ジルの心は非常に強い。
ルーカスに影響さえ無ければジルにわざと変わりジルがサムサールの影響を受けるということも可能である。

そしてジルは騙されやすい。今まで何度もルーカスに騙され表に出てきた。
この騙されやすさを使いルーカスはわざと今回人格を変えさせ一定時間ジルに行動を任せた。


ジル・ド・レとしてルーカスは行動する。
奥へ奥へと進んでいく。