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SKY~なんちゅのPFCSブログ~

なんちゅのPFCS用のブログです。かなりフリーダムです。

ナルキッソス〈BL〉

鏡に映る俺を眺めていた。
手を伸ばせば届きそう、捕まえられそうなのに、アイツを手に入れることはできない。
 
「…」
 
鏡に映る俺を見てため息をつく。
 
絶対手に入らない。絶対にアイツを抱きしめることは出来ない。
夢の中でアイツを抱きしめられたらいいのに。この身体と心を分離できればいいのに。
 
 
「ルーカス」
 
 
 
 
 
 
 
 
「…違う、きっと違う」
 
俺は否定する。あってはならない事だ。
…アイツをこの腕の中に抱きたいがとうてい無理な話。
俺はただむなしく鏡を見ていた。
鏡の中でアイツを見てみたいから。
 
 
アイツは俺の事をなんとも思ってねえ。
アイツはひたすら鈍感で、気づかねえ。
気づいてくれ…俺の思いに。
 
鏡に映る俺を観るだけで、心臓が高鳴ってしまう。
俺の身体なのに。俺の身体なのに、お前と思ってしまう。
この身体は今はほぼお前のもの。だから俺はお前。
…それが苦しいんだ。気づいてくれ。気づいてくれよ。
 
 
「ジル」
優しい声が脳裏に響く。
 
「なやんでいるのかい?」
俺の心とお前の心は共有できない。
「てめえのことでだよ」
優しい声に、否定の言葉をかける。
 
「ぼくのことで、悩んでいるのかい?」
…そうだよ。テメエの声を聴くだけで、優しいテメエの声を聴くだけで、泣きそうになる。
 
「ぼくはなぜきみが悩んでいるのかわからない」
そう言われた途端、俺はブチ切れた。
るっせぇ、テメエに俺のことなんか分かるかと。
 
「…そうかい。ぼくはきみの気持ちを分かれないのかい…」
しょんぼりと声が話しかける。
またテメエに気持ちを言えなかった。
 
ルーカス=マーティン、貴様が好きだといつまでも俺は言えないまま。
鈍感だね、ぼくもジル・ド・レが好きだよ。