SKY~なんちゅのPFCSブログ~

なんちゅのPFCS用のブログです。かなりフリーダムです。

『ほんのりBL注意』ドレス選び

※ほも

「…おーい何やってんだレイヴー。」
夏のはじまり。クレインは呆れた顔をしながらパタパタと手で自身を仰いでいた。あぢーという声が時々ギャングの会議室にこだまする。クーラーと呼ばれる機械をリモコンで操作するが、金銭的な都合で微妙にしか涼しくならないので仕方なく全員が扇子と呼ばれるものを持って仰いでいた。
そう、ここは会議室…なのだが、フリーダムなギャングの上の人物のせいでほとんど休憩室と成り果てている。主にダンテ。

そして休憩中。目の前にはドレスを着たレイヴ、ドレスを持っているタナトス。メイクアップ用に居るクラリネッタ。このドレスはタナトスが選んだもののようだ。
「見りゃわかるだろ?クレイン」
「クレイン、俺がメイクしてる時点で何か察してくれないかね?」
レイヴとクラリネッタがあっさりと答えると、鏡の前にレイヴは立った。勿論バンダナ付きで。
「似合ってるぞーレイヴ」
タナトスがニヤニヤとしながら鏡のレイヴの前にドレスを次々と差し出す。
「サンキュー、タナトス。」
口だけの感謝をし、ドレスをウキウキでレイヴは着た。

ギャングの中でも一部にしか知られていないが、レイヴの趣味は女装。毎日夜になるとスカートをこっそり履いたり女性者のセーラー服と呼ばれる服を着たりしている。

レイヴの趣味が真っ先にバレたのはタナトスだった。こっそりセーラー服を調達させた所をタナトスに見つかり恥ずかしながらに言うと「似合ってんじゃん?」と否定しなかった。
気持ち悪がられると思っていたレイヴは呆気に取られた。レイヴは何処かでいつかこの趣味がバレるだろうと思っていたものの真っ先に仕事仲間であるタナトスにバレてしまい恥ずかしがっていた。
似合ってると言われ、恥ずかしさが勝った。こういうときも感謝すると言うことをレイヴは知らなかった。
そしてタナトスは「あんなぁ、こういう時はな、似合うと言ってくれてありがとう、だ」とレイヴに教え、レイヴはそれ以降感謝という事を口先だけでもと学んでいったのだった。


何故かタナトスの顔が暗い。
綺麗だと言いながら少しだけ曇った顔つきをしていた。
レイヴにとって、何故かは分からない。感謝とは絶対的に違うのに。

ふとレイヴはドレスを選んでくれたタナトスに向かいバンダナをコッソリとズラしてみた。
こういう時は感謝するんだよなぁ?と思いながら。
そのバンダナズラしは、クレイン達には見えないように一瞬だけ、少しだけのズラしだった。
第三の目と瞳が合ったタナトスは急に顔が真っ赤になり、レイヴから離れるように少しだけ後ずさりした。
「ど、どうしたタナトス?」
クラリネッタが真っ先に異変に気づく。もしや自分のメイク道具はタナトスにとってアレルギーとやらだったかと心配したのだ。
「痛くねぇし痒くもねぇが…クラリネッタ、ちょっとオレから離れてな」
耳元まで赤くしたタナトスを見て、レイヴは少し違和感を感じた。これは恥ずかしさなどで起きるものでは無いか。自分にない感情は感謝なのに。

クラリネッタがタナトスから離れると、レイヴに近づいたタナトスは急に地べたに座り込んだ。
「なっ!?痛かったかタナトス?」
そうレイヴが心配するとタナトスが急に泣きながらレイヴに向かって言った。
「ありがとう……とても綺麗だよレイヴ……」
タナトスが泣いている理由もなぜ感謝しているかも分からない。ただ目を見たから急に感謝とやらでいっぱいになっているのは分かるものの、どうしてそれが涙に繋がっているのかわからなかった。
「レイヴ…綺麗だよ…とても綺麗だ……」
「え、えーっとタナトス?」
「ありがとう…オレの選んだ服すげぇ似合ってる…ありがとう…」
「…おーいクレイン。タナトスの様子すげぇおかしいんだけどコレどういう感情?」
「俺に聞かれてもな!?なぁ兄さん」
「言わない方がいい気がしてきたな…」
「お、おいクラリネッタ、言えよ!」
タナトスの抱いている感謝以上の何かにレイヴが気づくまであと何日経つのだろうか。
締め切られた空気、効かないクーラー、忘れ去られた扇子、一人泣く男。
感謝より気づいて欲しい感情に気づくまで、初夏までに足りるのだろうか。

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