SKY~ナツユのPFCSブログ~

なんちゅのPFCS用のブログです。かなりフリーダムです。

【IF】青薔薇は枯れた

もしも、エーリヒがギャングのままだったら

 五本指にエーリヒは戻り一週間、後悔の眼の効果も抜けぼんやり、とエーリヒは考える。
「(ワタシはマコトを愛して間違いだったのだろうか?)」
 この疑問が彼に残る。
 マコトと出来るならもう一度会いたいと、エーリヒは、今日も花瓶の花を眺めながら、想う。
「(もうマコトのことは忘れよう)」
 エーリヒが半分諦めたようにクレインの元へと向かう。次はどのような命令が下されるだろうか。エーリヒに感情は湧かなかった。

「あの花屋には向かうなよ、あとマコトって奴との接触も禁止だ」
「……はい」
 手を握りしめるエーリヒ。もう彼はギャングの命令ならなんでも聞ける人形となっていた。
「(そういえば警察に、今のワタシのような少年が居るらしいじゃないか)」
 警察にいた『感情を封印した少年』のことをぼんやり思い出すエーリヒ。脳裏は絶望でいっぱいだった。

「エーリヒのやつ、ギャングの成績前よりいいらしいぜ」
 シュンが何気なく呟いた一言で、受け取り側のソラは次のエーリヒの手による事件化を警戒する。
「何故でしょうか……エーリヒ、本当に活動が活発ですよね」
「なんか最近花屋の近くで目撃されるっていうけど……なんでだろうな?」
「……?」
 ソラは『花屋』というキーワードで、花屋の店主とエーリヒが数十回接触していたという情報を思い出した。
 そこの店主はエーリヒと親しく、エーリヒが一時期犯罪の手を緩めていたことに関係があるそうだ。
 花屋ということにより、店主関係があるだろうと読んだソラ。シュンにひとこと言い花屋へと向かうことにした。

「いらっしゃい、あ、警察さん!」
 花屋の中にあるテーブルで紅茶を飲んでいたのは、金髪の中性的な女性だった。
「エーリヒさんについて聴きたいのですが」
「あ……エーリヒさん……ですか」
 悲しそうな目をする彼女。聞けば二人は、恋人関係の直前にまでたどり着いていたという。しかしギャングのサムサールの手により、二人は会うことを『後悔している』という。もう彼女は後悔していないらしいが、エーリヒがどう思っているかがわからない、と話してくれた。
「……そうだ。エーリヒさんにこれ、渡してください。」
「青薔薇の……コサージュ?」
 ソラに渡された、青薔薇のコサージュ。良い匂いのする薔薇で、よく見るとアルビダの染料で染められているのがわかる。
「これをプレゼントしようと思ってたんです……エーリヒさんが好きな花なんです
どうか会えたら渡してください」
「……わかりました、店主さん。俺、絶対にエーリヒさんに渡します」
「ありがとう…… そうだ、落とさないように、胸元につけておいて。」
 ソラはエーリヒへと渡すことにした――青色の薔薇を。

 エーリヒは無意識に花屋へ続く道を歩いていた。会いたい相手がいる、という思いで脳裏はいっぱいだった。
 しかし、ソラがそれを見抜いていたのか道の途中で二人が遭遇する。
 エーリヒにとっては偶然だが、ソラにとっては計画だった。アジトの位置からもっとも花屋に近い場所は、ここだろう、と計算していたのだ。
「……警察か」
 光のない瞳でつぶやくエーリヒ。戸惑うソラ。
 ソラも迷っていた。このまま先に進ませればいつ市民に危害が加わるかわからないが、このまま逮捕させたらあの店主さんに合わせてやれない――
「ワタシを逮捕しろ。力づくでも」
「……なぜそのようなことを言うのですか」
 ソラは、エーリヒの言いたいことは分かっていた。
『今逮捕しないともっと街に危害を加える』

 エーリヒが急に駆け出し拳で殴ってきた。ソラは反動で後ろへと若干下がる。
「ぐっ」
 護衛用のナイフでエーリヒと交戦するソラ。エーリヒの体術は警察の人間の中でも特に優秀なソラを超えていた。
「さあ、ソラ。逮捕するか、やられるか。だ」
 キック攻撃が続く。最初は狙われたのは足だけだったものの、だんだんと腹も攻撃されるようになってきた。
 このままではやられる、とナイフでエーリヒの足を軽く傷つけ痛みでキックを封印させる。
「うっ…………。なぜ逮捕しない……?」
「それは……」
 迷っているソラ、その隙にエーリヒが打撃を加えていく。エーリヒがソラの胸ぐらを掴んだ時だ。
 エーリヒの目の前に青薔薇のコサージュが見えた。
「これ、は……」
 一瞬手が緩むエーリヒ。エーリヒの脳裏には、花屋の店主が浮かんでいた。
「(今だ)」
 ソラがエーリヒに手錠をかける。エーリヒは一瞬抵抗しようとしたが、すぐにそれをやめた。ソラにはその理由がわからない。
「……ワタシはこれで正しいのです」
「エーリヒさん……」
 ソラが警察にエーリヒを連れていく最中、花屋の店主がエーリヒをチラリと見た。
 エーリヒも彼女に気づき、悲しそうな顔をしてうつむいたが、ソラは気づかなかった。


 エーリヒ=ローゼンベルグ 五十 人間
 己を何かしらのショックで精霊だと強く思い込んでいる人間。
 極悪犯罪を繰り返していたものの、なぜか檻の中ではおとなしい。
 匿名で青色の薔薇が飾られた花瓶が送られ、エーリヒは日々それを眺めているという。
 彼の心理は不明――

 

 

おまけ

 

当初エーリヒは「」離せ離せぇぇええ!!ワタシは精霊だ!ワタシは精霊なのだぁぁああ!!と逮捕される予定のキャラクターでした。どうしてもエーマコ成分を入れたかった……