SKY~ナツユのPFCSブログ~

なんちゅのPFCS用のブログです。かなりフリーダムです。

「伝染」病と錬金術師 3

 ――はい、相手はこれを狙ってたんでしょうね……長髪の後ゴールドは豪雨を降らしましたよ。地面が、降らされた雨のせいで滑り上手く動くことが不可能です。
今のこの非力な手足で駆け巡ったら、滑ってしまうでしょう。おまけに冷たい雨のせいでより体力が奪われてしまいますね。
「おいツカイ!本当に大丈夫か!」
「濡らしてすいませんね皇帝、ですが私が伝統品を取り戻すので!」
 力の入らない腕でなんとか剣を持つ。私、なんでこんなことしてるんでしょうかね。なんで伝統品を取り戻そうとしているのですかね。
「君は伝統嫌いだろう?なのになんで伝統品を守ろうとするんだい?」
「うるさいですね!」
 走ってゴールドに剣を振るう。少しは相手にかすったものの、服にチッと当たる程度でしたね。本当、腕に力が入りません。棒腕病の時に戦うものではありませんね。
 隙を突かれて攻撃されてしまいましたよ。――そして、視界が真っ暗になりましたね。
 追い討ちなのか顔面に水のエレメントを大量に運ばれ水浸しにされてしまい、ちょっと溺れるかと思いました。これが、錬金術師。
「(……私役立たずなんでしょうかねぇ……笑われちゃいますねぇ
棒腕病……本当、厄介だ ちょっと、私は前世どんなやつだったのかが気になりますねぇ……)」

 ――たぶん現実の時間的には一瞬だったんでしょうし気絶してたんでしょうね、夢を見ましたよ。
 金髪の召使いの棒人間と皇帝っぽい黒い棒人間が喧嘩してましたね。
 召使いと皇帝は喧嘩してましたがいつも通りっぽい感じでしたね……
 でも笑ってましたよ、二人。あ、金髪の方、私っぽい。そう一瞬で感じました。
 だってそいつ、頑固でしたもの。
 ――そこで意識は戻りました。私は思いましたね。たぶんそいつ、私の前世だと。信じませんよ。信じませんが、私、そうだと直感で思ったんですよ。

「起きるの遅かったから心配したぞツカイ!」
 起きた時には船が来るまであと十分ほどかぐらいの距離。ここでゴールドを捕まえねばと思いました。
「伝統嫌いなら僕を逃したほうがいいと思うよー?召使いさん。」
 立ち上がった私の胸ぐらをゴールドはぐいっと掴む。こいつ、私の体力がないことをいいことに……
「さっきはありがとうございます、おかげで前世っぽい何かが見えた気がしますよ」
「何?」
 ゴールドは私をぱっと離す。それが意図的なものではないことに私は気づいた。
「……!?」
 先ほどの力が抜ける催眠術、効いてきたんでしょうね。念のためかけといてよかったです。
「それに――逃げてわかりました。さっき一瞬ですね、夢を見たんですよ。
捻くれてる金髪の棒人間が一瞬見えましたよ。私らしいですよね。」
「棒人間ねぇ、イストワールっぽいね 弱そうだね。」
 もう挑発には乗りませんよ、ずぶ濡れになって私は物理的にも頭を冷やせましたし。
「そこでわかりましたね、私にも前世とかいうアホな幻想はあるんでしょうねぇ。たんなる夢だとしても意味はあるんでしょうねぇ。
これは――棒腕病は私に何かを教えてくれるものだったんでしょうね」
 余裕そうな演技――いえ、もう余裕ですよ。こっそり、かけましたもの。私から私への自己催眠。
 催眠術は錬金術に勝るかはよくわかりませんが……
「ツカイ、無茶すんな!力無いんだし!」
「皇帝、大丈夫ですよ、『私に力が満ちていく』」
 自身が出るという要因は勝ります。

 剣を勢いよく振るう。ゴールドの腕にあたりましたね、ま、どうせかすり傷程度ですが、足止めには効きます。
「つ、ツカイ。棒腕病なのにその力は……!?」
「皇帝、今のうちにガートを呼んでください。ゴールドが港にいる、と。」
 皇帝が港の役員に連絡して急いで連絡する。今のうちですね。剣で打撃を加える。その力はいつもの私ぐらいの力でした。例えが通じにくいと思いますが、力がない今の状態でこの力は驚異的ということです。
「おかしい、力が入らない……!錬金術もうまく使えない」
 ……被暗示性が思ったより強かったっぽいです。まさかエレメントを操る術すらうまく操作できないなんて。
 そしてゴールドが海に逃げようとした時です。
「ゴールド!『伝統に染まる病』にかかった私と錬金術師、どっちが勝つんでしょうかねぇ!?」
 石版を狙い私は勢いよくタックルをし、ゴールドが思わず石版を落とす。
 ゴールドは拾おうとしたものの催眠術が思ったより効いてるのか拾えませんね。私がひょいっと石版を取り戻した時に、ガードがやってきました。
「ガードだ!怪しい有翼人はあそこだな!」
「はい。今のうちに逮捕でもしちゃってくださいな。」

 ――そうして、イストワールの錬金術師・怪盗ゴールドは確保されましたね。
 ああ、疲れました。その後、無理やり自己催眠で引き出した潜在能力のせいで私は一日中ベッドの上でした。
 しばらく怪しい奴が来ないかガードは硬くなる予定ですし……マシになるでしょう。
 そして私、なんであんな夢見たんだか……前世とか信じてないんですがねぇ。まあ、いいですか。
 三日もしたら棒腕病は治りましたあがその間変な夢ばっか見ましたよ。
 その夢の内容、またあの棒人間の夢でした。まったく、奇妙な夢を見る作用があるとは。たぶん私が伝統認めるまで続くんでしょうねこの夢……まあ、いいです。
 今回一番恥ずかしかったのはあの余裕よりも伝統病を『伝統に染まる病』って言ったことですね、伝染病じゃないですか。
 ま、終わったことです。これでめでたしということにしましょうか。
 プレイ、どうでしたか?おや、プレイ、プレイ?弟よ?
 ――話長すぎましたようですね。ま、いいや。弟への実話の言い聞かせ、ここでやめておきましょう。